原材料・複合原材料の表示方法【加工食品の食品表示を徹底解説 第2弾】

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原材料の表示方法にはいくつかのルールが定められていて、スラッシュルールや複合原材料の表示など、わかりにくい部分も多いです。

 

ですが、一般用加工食品(お客さんに向けて売る加工食品)には原材料名の表示は必須です。

 

 

結論から先に言ってしまいますと、原材料名の表示方法は使った量が多い順に並べるだけでOKです。

スラッシュルールは、ざっくりいうと添加物の表示方法の一種になるので、別の記事で解説します。

 

「複合原材料」とは、簡単に言うと「2種類以上の原材料から作られている原材料」という意味なので、この複合原材料をどうやって表示するのかも、この記事で詳しく解説していきます。

 

 

筆者は、外食チェーン店を複数ブランド展開する会社で品質管理をやっておりまして、今年の6月に食品表示検定中級を取得しました。

 

 

 

この記事は、

  • 一括表示の「原材料名」の事項に書く内容がわかる
  • 原材料の表示方法のルールがわかる
  • 複合原材料の表示方法もわかる

こんな感じの内容になっています。

 

  • 食品表示を勉強し始めたばかり
  • 食品表示に精通する社員はいないが食品表示を作る必要がある

こういった方たちに、わかりやすいように表や図を使って原材料名の表示方法を解説していきます。

 

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原材料の表示方法

原材料名は、

原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示する。

引用:食品表示基準 第3条

 

となっています。噛み砕いて説明していきます。

 

 

原材料に占める重量の割合の高いものから順に

「原材料に占める重量の割合の高いものから順に」というのは、「使った量が多い順に」という意味です。

 

苺ジャムクリームパンを例にあげて説明していきます。

 

図は、苺ジャムクリームパンのレシピです。

 

※適当なレシピなので「こんなんでパン作れるわけねーだろ!」というクレームはご容赦ください。

 

 

これを、使った量が多い順に、単位をグラムに変換して並べ替えていきます。

 

牛乳は1㏄=1.032g、卵Mサイズは1個50g、砂糖は大さじ1杯=9g、バニラエッセンスは1滴0.2gで計算しています。

 

 

これで、「原材料に占める重量の割合の高いものから順に」はクリアしました。

 

ここまでで解説したルールで表示を行うと、

 

原材料名:生クリームのような濃厚牛乳、小麦粉、卵(Mサイズ)、なめらかカスタード、砂糖、マーガリン、苺ジャム、バニラエッセンス、ブランデー

となりますが、何か違和感がありませんか?

 

この苺ジャムクリームパンを購入したお客さんからしたら、「生クリームのような濃厚牛乳」は、牛乳なのか、生クリームなのか、わかりづらいですよね。

ほかにもわかりづらい部分があります。

 

このわかりづらさを解消するためのルールが、次になります。

 

 

その最も一般的な名称をもって

「その最も一般的な名称をもって」とは、「わかりやすい名前で」という意味です。

 

一般的に理解できる名前ならOKなので、「ブランデーは絶対に洋酒って書かないといけない!」みたいなルールはありません。

誰でも理解できるならOKなので、ブランデーでも洋酒でも、作る人が自由に決めて大丈夫です。

 

 

ただし、先ほどの苺ジャムクリームパンですが、

 

この「生クリームのような濃厚牛乳」「なめらかカスタード」のような商品名は、一般的な名称ではありません。

 

一般的な名称に変更すると、こんな感じです。

 

あと、「卵(Mサイズ)」も、サイズの表示は不要なので「卵」のみにします。

 

これで、「その最も一般的な名称をもって」もクリアです。

 

 

ここまでで解説したルールで表示を行うと、

原材料名:牛乳、小麦粉、卵、カスタードクリーム、砂糖、マーガリン、苺ジャム、バニラエッセンス、ブランデー

となります。

スッキリして見やすくなりました。

 

これで大丈夫な気もしますが、実はもう少し細かいルールがあります。

 

 

 

複合原材料の表示方法

冒頭でも触れましたが、「複合原材料」とは「2種類以上の原材料から作られている原材料」という意味です。

 

先ほどの例で出した苺ジャムクリームパンで使用している複合原材料は、カスタードクリームと苺ジャムになります。

 

 

複合原材料については、次の2つのルールが定められています。

  1. 複合原材料の名称の次に括弧を付して、当該複合原材料の原材料を当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示する。ただし、当該複合原材料の原材料が三種類以上ある場合にあっては、当該複合原材料の原材料に占める重量の割合の高い順が三位以下であって、かつ、当該割合が五パーセント未満である原材料について、「その他」と表示することができる。
  2. 複合原材料の製品の原材料に占める重量の割合が五パーセント未満である場合又は複合原材料の名称からその原材料が明らかである場合には、当該複合原材料の原材料の表示を省略することができる。

引用:食品表示基準 第3条

 

こちらも噛み砕いて説明していきます。

 

 

基本の表示

複合原材料の1つ目のルールの前半部分では、基本的なルールを示しています。

 

分かりやすく言い換えると、「複合原材料に使った原材料は、複合原材料の名前の後ろにカッコをつけて、使った量が多い順にわかりやすい名前で表示してくださいね」という意味です。

 

 

先ほど例に挙げた苺ジャムクリームパンを、このルールに沿って表示すると

原材料名:牛乳、小麦粉、卵、カスタードクリーム(牛乳、砂糖、卵黄、小麦粉、寒天)、砂糖、マーガリン、苺ジャム(いちご、砂糖)、バニラエッセンス、ブランデー

となります。

せっかくスッキリしたのに、長ったらしくなりました…

 

長すぎると逆にわかりづらいので、まとめるためのルールがあります。

 

 

「その他」と表示できる場合

複合原材料の1つ目のルールの後半部分は、「複合原材料に使っている原材料が3つ以上ある場合、使った量が多い順が3番目以降で5%未満の場合は、「その他」と表示するこができますよ」という意味です。

 

 

噛み砕きましたがまだ少しわかりにくいので、図で説明します。

 

カスタードクリームのレシピをパーセンテージで表示しました。

 

このレシピでは、小麦粉と寒天が5%未満になっています。

 

なので、小麦粉と寒天は「その他」とまとめることができます。

原材料名:牛乳、小麦粉、卵、カスタードクリーム(牛乳、砂糖、卵黄、その他)、砂糖、マーガリン、苺ジャム(いちご、砂糖)、バニラエッセンス、ブランデー

 

少し短くなりましたが、さらに省略するためのルールもあります。

 

 

省略できる場合

複合原材料の2つ目のルールは、「製品に使用した複合原材料が5%未満の場合か、原材料名を書かなくても原材料がわかる場合は、表示を省略できますよ」という意味です。

 

「原材料名を書かなくても原材料がわかる場合」とは、

  • 「鶏唐揚げ」のように、複合原材料の名称に主要原材料が表示されている
  • 「魚介エキス」のように、複合原材料の名称に主要原材料を総称する名称が表示されている
  • 「マヨネーズ」のように、他の規格や基準で定義されている
  • 「かまぼこ」のように、使用されている原材料が明らか

これらの場合です。

 

 

このルールも言葉だけだとわかりづらいので図で解説します。

 

このレシピでは、マーガリン、苺ジャム、バニラエッセンス、ブランデーは5%未満になっています。

 

なので、苺ジャムの複合原材料は省略することができます。

原材料名:牛乳、小麦粉、卵、カスタードクリーム(牛乳、砂糖、卵黄、その他)、砂糖、マーガリン、苺ジャム、バニラエッセンス、ブランデー

 

これで完璧!といいたいところですが、実はまだ完成していません。

正しくは、

原材料名:牛乳(国内製造)、小麦粉、卵、カスタードクリーム(牛乳、砂糖、卵黄、その他)、砂糖、マーガリン、苺ジャム、ブランデー/香料(原材料の一部に乳成分・小麦・卵を含む)

となります。

 

「牛乳」の後ろに「(国内製造)」がつくのは、原材料で一番多く使用しているものは、原料原産地を表示する必要があるため。

そして、バニラエッセンスは香りをつけるために使用しているものなので、添加物になります。

アレルギー表示は、原則個別表示ですが、今回は説明しにくかったので一括表示にしました。

 

 

これらのルールについては、他の記事で解説をします。(執筆中)

 

 

その他のルール

この例では出てきませんでしたが、複合原材料の表示ルールは、他に

単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がない複合原材料を使用する場合については、当該複合原材料の全ての原材料及びそれ以外の使用した原材料について、原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示することができる。

引用:食品表示基準 第3条

 

というものがあります。

 

これは、「「ココア調製品」のように、ココアと砂糖を混ぜただけで大きな変化がない場合は、ココアパウダーと砂糖はほかの原材料と併せて使った量が多い順に表示することができますよ」という意味です。

例:卵100g、ココア調製品50g(ココアパウダー30g、砂糖20g)、牛乳25gの場合

 

× 卵、ココア調製品(ココアパウダー、砂糖)、牛乳

 卵、ココアパウダー、牛乳、砂糖

 

 

 

別名で表示できる原材料

さらに、特定の原材料は別名で表示できる というルールもあります。

引用:食品表示基準 第3条

 

 

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原材料表示の作成手順

ここまでの作業を順番に整理すると、このようになります。

 

  1. 配合のわかるレシピを用意する
  2. 重量から配合比(パーセンテージ)を計算する
  3. 原材料の規格書(原材料の配合比)を入手する
  4. 原材料を使った量が多い順に並び変える
  5. 原材料と添加物を分ける
  6. 複合原材料の表示方法を確認する(省略できないか?など)
  7. 別名で表示できる原材料がないか確認する

 

このほかに、アレルギーの表示や遺伝子組み換え食品の表示が必要なもの、食品によって個別にルールが定められているものもありますが、それらについては別の記事で解説したいと思います。

 

 

食品表示の勉強は?

記事内では、食品表示基準を参考に原材料名の表示方法を紹介してきました。

 

基礎を学ぶために食品表示法や食品表示基準を見ていても、はじめのうちはチンプンカンプンになると思うので、わかりやすくまとめられたテキストで勉強を始めるのがおすすめです。

 

by カエレバ

 

食品表示検定には、初級・中級・上級の3つの級があります。

初級と中級は誰でも受験可能で、食品表示を作りたいのならば中級の取得をオススメします。

 

私も今年の6月に食品表示検定の中級を取得し、今では実際に食品表示を作成しています。

 

転職する際にも有利だったので、そういった点でも取得して損はないかと。

 

 

 

まとめ

原材料の表示は、

  • 添加物以外の原材料を使った量が多い順に並べる
  • 原材料名は、誰にでもわかる名前で表示する
  • 複合原材料の表示の基本は、複合原材料の名前の後ろにカッコをつけて使った量が多い順に並べる
  • 複合原材料は、まとめたり、省略したり、分けて表示したりできる
  • 別の名前で表示できる原材料もある

 

このようになります。

 

 

原材料名の事項に表示するほかの内容は、原料原産地添加物アレルギーの3つです。

これらについては、別の記事で解説していきますので、気になる方はあわせてご覧ください。(執筆中)

 

今回はこの辺で終わりにします。

加工食品の表示方法は、シリーズ化していく予定です。乞うご期待!

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