『JANコード』とは、商品を識別するための番号のことです。
このJANコードをJANシンボルでバーコードとして表示し、機械で読み取ることによって、どの事業者のどの商品なのかを正確に素早くコンピュータに取り込むことができます。
実はこのJANコードとJANシンボル、世界各国で共通の仕組みとして利用されています。
このJANコードとバーコードを使えば、業務の効率化や、販路の拡大に有効なんです。
- 人手が足りないので、清算業務、受発注、在庫管理をもっと簡単に行えると助かる
- 取引が拡大してきたので、物流センターで管理してもらう必要が出てきた
- 新規の取引先がバーコード表示を求めている
こんな方はぜひJANコードを取り入れていきましょう!
今回は、このJANコードのルールと、作成から運用までを現役の品管が徹底的に解説していきます。
もくじ
JANコードを運用するためのルール
もう一度JANコード、JANシンボルについて詳しく説明しながら、ルールの解説をしていきます。
JANコードとは、国際的な商品識別番号
商品ブランドを持つ事業者が、GS1事業者コードを借りて、商品1つ1つに設定していきます。
JANコードには、数字が13桁ある標準タイプと、小さな商品にのみ使用できる8桁の短縮タイプがあります。
標準タイプのJANコードの構成は、GS1事業者コード9桁、商品アイテムコード3桁、チェックデジット1桁の計13桁です。
453456789:GS1事業者コード(業者名)
123:商品アイテムコード(商品名)
1:チェックデジット(間違い防止用の数字)
JANコードはPOSシステムを使ったレジで読み取ることが可能で、POSシステムにあらかじめ登録された商品マスタから読み取ったバーコードをもとに、商品名や価格などの商品情報を呼び出します。
ですので、JANコードやバーコードに商品名や価格が登録されているわけではありません。
つまり、価格の変更があった場合でもJANコードを変更する必要はありません。
そして実はこのJANコード、日本国内だけでの呼び方でして、国際的にはEAN(イアン)、もしくは桁数に応じてGTIN(ジーティン)-13、GTIN-14などと呼ばれています。
GTIN-14とは?
JANコードは13桁か8桁というお話をしてきましたが、GTIN-14とは、「14桁のコードである」ということ。
この14桁のコードは、JANコードとは違い、商品をいくつか詰めて箱やケースでやり取りする際に使用するためのコードです。
「同じ商品をたくさん入れているだけなので、JANコードも同じでいいだろう」と思ってしまいがちなのですが、集合包装には集合包装用の別のコードを設定する必要があります。
名前を集合包装用商品コードといい、取引先へ段ボールで納品する際や、商品をケース売りするに使用します。
ですので、箱単位で納品することがない場合はこの集合包装用商品コードを設定する必要はありません。
取引先から要望があったときに設定します。
そして、この集合包装用商品コードにもJANシンボルと同じようにバーコードがあり、名前をITFシンボルといいます。
ITFシンボルは基本的に外装の箱などに印刷し、納品業者などが使用するため、定置式スキャナで読み取れるよう、印刷位置についても決まりがあります。
GS1事業者コードとは?
GS1事業者コードとは、事業者が自社ブランドを表すコードを勝手に作ってかぶってしまうことがないように、流通システム開発センターが事業者に貸し出し・管理を行っているコードです。
事業者単位で申請する必要があり、継続して使用する場合は3年に1度更新が必要です。
チェックデジットとは?
チェックデジットとは、入力・読み取り間違いを防ぐための仕組みで、印刷業者に依頼するか流通システム開発センターのホームページで自分で計算して算出します。
チェックデジットの値が間違っていると、商品登録やバーコードの作成・読み取りができなくなります。
JANシンボルとは、要するにバーコード
JANコードを、バーコードリーダーで読み取れるように白と黒の縦線で表したものがJANシンボル、つまりバーコードになります。
正確に言うと、バーコードにはいくつかの種類があるのですが、今回はJANシンボル=バーコードとして解説していきます。
JANコードの作成~運用までの流れ
ここまででJANコードのルールはざっくりと理解できたと思います。
ここからは、実際にJANコードを作成し、運用する方法を解説していきます。
JANコードを設定する
まずは、GS1コードを取得します。
取得方法は2つあります。
登録申請書で申請
- 流通システム開発センターが配布している「初めてのバーコードガイド(新規登録用)」の巻末にある登録申請書に記入し、登録を行います。
- 登録申請書料を振り込みます。
- 徳六申請書を商工会、もしくは流通システム開発センターに提出します。
- 不備がなければ、登録通知書が届きます。
インターネットで申請
- http://www.dsri.jp/jan/ から申請を行います。(PCのみ可能)
- 届いたメールに必要事項を入力します。
- 登録申請料をコンビニ・ペイジー・もしくは均衡振り込みで支払います。
- 不備がなければ、登録通知が届きます。
商品アイテムコードを設定する
任意の商品アイテムコードを001~999の範囲で設定します。
商品アイテムコードは001から順番につけていくと、変更があった際の管理も楽になります。
アイテムコードの設定基準
以下のような場合は、異なるアイテムコードが必要になるので注意してください。
- サイズが異なる場合(例:大袋、中袋、小袋)
- 重量/容量が違う場合(例:100g、200g/50㏄、80㏄)
- 包装形態が異なる場合(例:袋物、缶詰、瓶詰)
- 色が異なる場合(例:ピンク、ブルー、ホワイト)
- 味が異なる場合(例:カレー味、バーベキュー味)
- 香りが異なる場合(例:ジャスミン、ブーケ)
- 販売単位が異なる場合(例:3個入り、5個入り)
- 商品アイテムコードが足りなくなったら?
商品が増えてきて商品アイテムコードが足りなくなってきた場合のみ、GS1コードの追加申請ができます。
GS1コードと追加コードの合計が100コード(つまり商品アイテムコード99900個分)までは無料で追加できますが、それ以降は100コードごとに申請料が発生します。
チェックデジットの計算方法
印刷業者に依頼するか、流通システム開発センターのホームページで計算をします。
JANシンボルを印刷する
JANシンボル(バーコード)を印刷します。
バーコードは、大きさ・色に決まりがあり、規格外の場合、読み取ることができなくなってしまします。
また、バーコードを印刷した商品にはGS1事業者コードの登録事業者名も必ず表示します。
集合包装用商品コードを設定する
集合包装用商品コードに使用するGS1コードと商品アイテムコードは、単品のJANコードに使用しているものと同じものを使用できます。
変更になるのは、一番最初の1桁と、一番最後のチェックデジットのみです。
一番最初の1桁はインジケーターといい、集合包装が1種類のみの場合は基本『1』に設定します。
一番最後のチェックデジットは、前の13桁を使用して計算し設定します。
インジケータの使用ルール
集合包装が1種類のみの場合はインジケータは基本的に1にするというお話をしましたが、集合包装が2種類以上ある場合には、インジケータを変更して識別できるようにする必要があります。
下記の場合は、1~8のインジケータを設定します。
- 同一商品で内箱と外箱を区別する場合
- 同一商品で入り数に姿が異なる場合(例:シュリンク包装、カートン包装)
- 通常品と販促品を区別する場合など
インジケータに『9』を設定するのは計量商品のみで、通常の商品には使用しません。
ITFシンボルを印刷する
ITFシンボルの説明時にも書きましたが、ITFシンボルを読み取るのは定置式のスキャナです。
寸法以外に、表示位置の決まりがあり、さらに読み取りミスを減らすためバーコードをぐるっと太線で囲んで印刷します。
取引先にコードを伝える
商品出荷前に、JANコード、集合包装用商品コードを取引先に伝えます。
コード以外に商品名、外形寸法など、必要な情報は取引先ごとに違うので、確認してください。
JANコード、バーコードの運用方法まとめ
- JANコードの設定
- 流通システム開発センターに申請してGS1コードを取得
- 商品アイテムコードを設定
- チェックデジットを計算
- JANシンボル(バーコード)の印刷
- 必要に応じて集合包装用商品コードを作成しITFコードを印刷
- 取引先にコードを伝える
以上の方法で実際に商品にJANコード、バーコードを印刷して運用することができます。
これから商品にバーコードを付けたいという方は、ぜひ参考にしてください!