食品表示を作成する際に記載する必要がる「販売者」と「製造所」ですが、記載時のルールが異なるって知ってましたか?
食品表示検定中級のテキストでもちらっと出てきますが、私は実際に表示を作るまでその違いをあまり理解していませんでした。
今回は、飲食チェーンで食品表示を作成している現役の品質管理担当者が、販売者と製造所の記載時のルールについて解説していきます。
もくじ
「販売者」と「製造所」の表示目的は別
「販売者」と聞くと、その商品を売っている会社、そして「製造所」と聞くと、その商品を作っている会社 というイメージを持つ人が大半だと思います。
だいたいはあっているのですが、もっと細かい部分でそれぞれ別々の目的があって表示されています。
「販売者」は表示責任者
販売者は、その食品の表示に責任を持つ人のことです。
- 食品表示に問題があった
- 食品表示について問い合わせがあった
このような場合に対応する義務があります。
この「販売者」の記載ですが、「販売者」に記載する名称と住所は、上記のような対応ができるなら法人ではなくても大丈夫 というルールがあります。
「製造所」は衛生責任者
製造所は、その商品の衛生面に責任を持つ人のことです。
- 商品に異物が入っていた
- 賞味期限内なのに腐っていた
このような場合に対応する義務があります。
この「製造所」の記載ですが、「製造所」に記載する名称は、法人登記されている必要がある というルールがあります。
加えて、「製造所」に記載する住所は、最終的な製造・加工をおこなった場所の所在地を書く というルールもあります。
製造所の方が、商品の中身に対して責任を持たなければいけないので、ルールが厳しくなっているんです。
どうしても「製造所」に店舗名(屋号)を書きたいときは?
「製造所」には法人登記されている会社の名称を記載する必要があることがわかりました。
ですが、店舗で作った商品を物販商品として販売したい場合、製造所のところに店舗とは全く違う会社の名前が書いてあると、消費者的には「?」となるかもしれないので、店舗名を書きたい…となることがあるかと思います。
私の会社では「店舗名を書きたい」となりました。
店舗名(屋号)+登記された会社名 と記載すればOK
消費者庁に問い合わせて確認したところ、
- 法人登記された会社名(店舗名)
- 店舗名(法人登記された会社名)
という書き方ならOKとのことでした。
なので私の会社でも、店舗名(会社名)と記載しています。
「製造所」のところに店舗名(屋号)と店舗の住所しか書いていない場合はどうなるの?
この場合は、消費者庁から「法人登記された会社名も記載してください」と指摘をうけて、食品表示を修正する必要がある、とのことです。
消費者庁の方から罰則などについては詳しく聞けなかったので、その他罰則などがあるかもしれません。
ご注意ください。
「販売者」と「製造所」が同じ場合は?
「販売者」と「製造所」が同じ場合は、一括表示枠内に「製造者」として名称と住所を書くというルールになっています。
この場合は、製造者が表示責任と衛生責任の両方を負うので、法人登記された会社名+最終的な製造・加工を行った所在地 を記載します。
「製造者」となる場合は、ほとんどの場合が食品工場だと思うので、名称は法人登記されているし、住所は最終的な製造・加工を行った所在地になるので、特に気にしなくても問題ないことがほとんどだと思います。
まとめ:店舗で物販商品を作って売るのは難しい…
今回の話を簡単にまとめると、
- 「販売者」は、表示について責任を負えるなら法人登記されていなくてもOK
- 「製造所」の名称は、法人登記されている会社名であること
- 「製造所」の住所は、最終的な製造・加工を行った所在地であること
- 「製造者」の場合は、法人登記されている会社名で、最終的な製造・加工を行った所在地を記載し、表示について責任を負うこと
となります。
新型コロナの影響で、「飲食店の店舗で物販商品を作って売りたい!」というケースが増えていると思いますが、結構ルールがややこしかったりします。
テイクアウトなら食品表示はいりませんが、保健所も忙しいのでブラック寄りのグレーな物販商品が横行しているようです。
食中毒がたくさん出たり、新型コロナが落ち着いてきたら、保健所も厳しく取り締まりだすと思われますので、今から法令順守しておくに越したことはありません。
私も気を引き締めて頑張ります…。
今回はこの辺で。